産地研修(石巻めぐみ野きゅうり復興編)

投稿者: みのり  2011年10月17日(月曜日) 18時36分|めぐみ野交流, 産地だよりRSS 2.0

みのりです。

田尻の産地研修の後で石巻のめぐみ野きゅうり生産者のところに寄りました。

震災および津波の影響により甚大な被害を蒙った地域ですが、いまだ被災の爪痕は回復しておらず、復興といえる状況までには程遠い状態です。

石巻のめぐみ野きゅうり生産者は6軒いらっしゃいましたが、うち1軒が大震災後の津波に巻き込まれご家族3名が犠牲になられてしまいました。(謹んでお悔やみ申し上げます。)残り5軒も津波の影響を受け、ハウスの被害が激しく、生産再開がままならない状況です。

そんな中、いち早く秋作からの出荷の目処が立った山田さんのハウスにお邪魔しました。石巻市の門脇地区にありますが、この辺は1~2mの津波が押し寄せ、ハウスは全壊までいきませんでしたが骨組みが壊れ、海水・瓦礫がハウス内に流れ込み、水平だったハウス内の畑も40cmほどの傾斜がつきへドロ・瓦礫が積もってしまいました。

山田さんご夫妻にお話を伺いました。(ほとんど奥さんから聞いた話になりますが。)

「震災後は放心状態で何も考えることができなかった。ハウスの状況を見て、自分はもう駄目だな、と思っていたが、お父さんはすぐ生産を再開すると言って、復旧活動を始めた。自分はもう無理だと思っていたが、お父さんの強い決意に引っ張られてただついていっただけ。」

「ハウス内はもうめちゃくちゃな状態だったけど、奇跡的なことに機械が動いたのが幸いだった。トラクター、ユンボを使ってヘドロ、瓦礫を運んでハウス内を整理した。流れ込んだ瓦礫・ヘドロは均一に堆積したのではなくて、畑は40cm以上傾斜がついて、それを馴らすのも大変だった。」

「大震災のときは春作のきゅうりを植えつけていたが、全部津波で持っていかれた。ハウスを建て直すのにも金がかかる。新たに資材を購入するのにも金がかかる。周りではまだ誰も生産を再開しようとしていなかったが、お父さんはやると言ってきかなかった。」

「ハウス内の復旧作業はすべて2人だけで行った。ボランテイアは住宅地のほうには入るが、畑の復旧までには入ってくれない。とにかく自分たちだけでやるしかなかった。」

すべて自分で資金繰りして、生産を再開したとのこと。義援金とかは回ってこないのですか?と聞いたらまだ一切県からはもらえていないそうです。厚く積もったヘドロ層を掻き出して、平らに慣らした畑ですが、たっぷり海水を吸った土地は大量の塩分を含んだ土壌になっています。地下水も含め、この塩分濃度の高さがネックになり、非常に苦労していますが、さまざまな試みの上徐々に塩分濃度は低下してきています。また、ほかの作物に比べきゅうりは塩分濃度が多少高くても生育しやすいそうで、なんとか秋作に間に合ったそうです。逆に、海水のミネラル分・塩分も効いていてきゅうりの味もかえって良くなるみたいです。

9月の台風の影響で、せっかく育ったきゅうりのハウス内のベッドが水につかり1割程度減収になりそうですが、それでももうすぐ出荷という段階までこぎつけました。

国・県からの支援策・資金援助などまったく見えてこない状態ではありますが、他のきゅうり生産者も春作からの生産再開に向けてがんばっている途中です。山田さんのきゅうりが店頭に並んだら、是非積極的に買い支えていただきたいと思います。


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